鶴竜は冷静だった。顎の下に頭を付けられた高安が、外四つから苦し紛れに振った瞬間を逃さない。タイミングのいい右外掛けで新鋭を一蹴。鶴竜ならではの早業だった。
鋭く踏み込み、押し込んだ。うまくさばいて右四つに組み止めると、左を巻き替えて二本差し。高安は今場所3日目、もろ差しを許した日馬富士から逆転の突き落としで初金星を挙げたが、それは想定済み。土俵中央から力任せには寄り立てず、「慌てないのが良かった」と自賛した。
新年に「今年の目標は優勝」と公言した。大関としての5場所で、2桁白星は11勝した昨年秋場所だけ。看板力士としての存在感を示すことができず、普段は物静かな鶴竜が自身への叱咤(しった)も込めて決意表明したように映った。
「先に立てているのが一番いい。自分の流れをつかめてきている」。目標達成に向け、テーマだった立ち合いも磨かれてきた。昨年は大関昇進を決めた験のいい春場所。波乱が相次ぐ土俵で、大関陣ただ一人の1敗を守った。この技巧派が白鵬を追う展開は悪くない。(2013/03/14-20:37)
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